あなたは養護教諭の複数配置の経験がありますか?
また養護教諭の複数配置に対してどんなイメージがありますか?

複数の方がいいんじゃない?
確かに複数配置のほうが良いこともあります。
ただ、そこは保健室と言う密室空間…。
養護教諭は1人配置が基本なので、養護教諭同士となると自分のやり方でやりたいという人がいるし、「複数配置だ!よかった!」と素直に喜べないのもまた事実。
私達はありがたいことに数人と複数配置で仕事をさせてもらいました。
そこで経験した、リアルな経験談を書いていこうと思います
※あくまで一個人の意見です
養護教諭の複数配置とは
養護教諭が複数配置になるかどうかは学校にいる子どもの人数で決まっています
養護教諭複数配置の基準
- 小学校851人以上
- 中学校・高等学校801人以上
- 特別支援学校61人以上
生徒数があと数人足りず基準に満たないために1人配置になってしまっている学校もあります。
今後は子ども一人一人に対するきめ細やかな支援のため養護教諭の複数配置の拡充が必要で、現在の養護教諭複数配置基準の引き下げが必要と検討されているところです。
複数配置のメリット

複数配置だと手厚くなれるからいいよね!
自分に何かあった時や宿泊行事引率の時も安心!

具体的なメリット
- 子どもの対応を相談し合う
- 重度の応急処置や、複数人の処置が必要になった時に迅速な対応
- 宿泊行事や出張の時も安心
- 健康相談をじっくり行える
- 生徒が教師を選べる
- 情報共有をして手厚い対応
- 膨大な事務仕事の分担
- 重要な応急処置や緊急時マニュアルの丁寧な作成
- 基本定時退勤が可能

2人でコミュニケーションが取れたらいいよね!
お互いの気遣いも必要よね!

複数配置が上手く行っている判断基準
- 2人でみんなを見守る感じがあるか
- 公平に仕事分担ができているか
- 意見が対等に出し合えているか
個人的な感情は別。
養護教諭として複数配置されている以上狭い保健室という空間でやっていかなければなりません。
性格・経歴・経験・年齢・家族構成などが異なる2人きりの空間。
お互いにリスペクトを持って、養護教諭として一致団結して子どものため、学校のために勤務できていれば複数配置として上手く行っています
経験談①

新卒1年目講師の時のお話。
大学を卒業したての私。
実習はやって、たくさん練習もしたけれど、実際に骨折した生徒は見たことがなかった。
ペアはベテランの養護教諭。
生徒に対しては厳しくも温かい、本当の優しさを持った人だった。
戸惑いながらも判断して何とか処置しようとするが身体が上手くいかない。
(初めてで極度の緊張感があった)

介達痛があるので骨折していると思うのですが、どう思われますか?
「もしかしたら」という気持ちと、「いや、違うかも?」自分の判断に自信が持てなかった。
ペアの先生が「私もそう思う。一緒に処置しよう」と声をかけてくれて本当に心強く、自信もついた。
これがもし生徒の前で「そんなことないやろ」とか「私が見るわ!」なんて言われた日には心が折れる。
(実際そういう人と組んだこともあって、私が合ってたけど?という複雑な感情になったことも。)
複数配置で育ててもらったと言う感覚と、養護教諭としての仕事の仕方・考え方を話せたのがその後の私の養護教諭人生の基になっています。
経験談②

楽しかった複数配置の話
その時の相方とは気の合う人だった。
性格と言うより仕事の仕方と言った方が正確かもしれない。
情報共有がしっかりして、2人で多くの生徒を細やかに見ることができたし、お互いがどのように対応すればいいか判断した時に、安心して任せることができた。
疑問や小さな違和感が生まれた時には、2人で1の子どもの対応を相談し合い、ベストな答えが出せて後悔のない対応ができた。
相方がこの子、私はこの子ということはなく、2人でみんなを守る感じの温かい保健室の雰囲気を作ることができたので来室は多かったが、保健室としての機能していた。
膨大な事務仕事もお互いが手分けして、自分の分が終われば相方の分を進めるなどお互いに支えあって仕事をしていくことができたので、提示退勤することもできた。
いざという時ために作成するマニュアル関係(応急処置や緊急時マニュアルなど)も2人で意見を出し合って作成することでモレのない良い物を作成することができた。
複数配置のデメリット

色んな人がいるのわかってるけどね…。
狭い空間きつい時あるよね…。

具体的なデメリット
- 性格が合わない人だとしんどい
- 仕事上でのモチベーションの差
- 自分のタイミングで進められない
- 仕事量の不公平さがある
- 保健室の物品を好きにできない
- 対応が違う時がある
複数配置が上手く行っていない判断基準
- 一方が委縮している
- 一方の仕事量が異常に多い
- 対応する子どもを選ぶ
- ペアへのリスペクトがない
保健室という狭い空間で何が行われているか職員室にいる他の教員が知ることはほぼありません。
理解のある管理職であればいいのですが、たいていの場合は「上手く行っているだろう」と思っているので、声の大きい方の養護教諭に丸め込まれることが多く、他の教員が知らない所で消耗してしまっている養護教諭もいます。
経験談③

私の存在って…?
ずーっと無口で情報共有なんて言葉はなかった。
自身が好かれてる子には対応する相方。
複雑な事情のある難しいケースを抱えている子は私 (相方を観察した気づいた)
悪口大会なんてザラで、飲み会幹事をする相方と他職員は目の前にいる私を誘わない。
存在否定もいいくらい無視された。複数配置は忍耐だった。
経験談④

仕事を進めたいのに…。
書類・事務仕事はほとんど私。
それなのに、生徒対応もほとんど私…。
相方は他の教員とプライベートなことを楽しそうに話している。
仕事と時間に追われている私とは正反対。
生徒対応が終わってすぐにでも事務仕事を進めたいのに、そこから始まる“お喋りタイム”。
楽しいコミュニケーションならいいのですが、ダラダラ話しかけられたり、誰かの噂や悪口もある。
仕事が進まないと内心焦る日々。
別日には相方の機嫌が悪く、時には無視し続けられることもあった。
個人の性格にもよるだろうけれど、せめて仕事分担が公平ならそこまで嫌な思いをすることもなかったかもしれない…。
正直、保健室にいたくなかった。(我慢して居続けたけれどしんどかった。)
複数配置のまとめ
メリット・デメリットともにある養護教諭の複数配置。
あまりにリアルすぎる経験談でしたが、働いたことのある人は共感してくれる人も多いのではないでしょうか?
数を増やせばいいってものじゃないと言うことがお分かりいただけたでしょうか?
天と地を知ってるが故に、複数だから全ていいわけではないこともまた事実。
複数配置で保健室を開けたら「空気が重い…。」ではなく「雰囲気が良い」がいいし、何よりも複数いることで保健室としての機能向上や子ども達の対応などが手厚くできる本来の姿でありたいと思います。